記事内に広告を含むことがあります
福岡雑煮

期待と恐怖が入り交じる。彼女が作る雑煮

福岡雑煮

初めて食べる彼女の雑煮(福岡バージョン)

▷彼女とマッタリ過ごすお正月編の1話目へ

二人でスーパーへと入る。

3日ともなると食材を買い求めるお客たちで店内は混雑していた。

 

「えっと・・何作ってくれるの?」

衛「約束どおり雑煮だけど?」

(雑煮だけかよ・・。)

そうと思いつつ、野菜コーナーでかつお菜をカゴに投入。

かつお菜は高菜の仲間で、福岡の雑煮には欠かせないものらしい。

衛「YUくんちって大根ある?」

「大根?無いけど?」

衛「じゃあいれとくね。」

雑煮に大根入れるの?

鰤(ぶり)と鶏肉もイン。これはきっと雑煮のついでに「煮物的な物」を作ってくれるに違いない。

雑煮と煮物・・味のジャンルがちょっと被っている気もするが・・。

案の定ビールなんかもカゴに入れてお会計。

 

「あの・・・肝心の餅は?」

衛「餅とかは実家から持ってきた。」

 

買い物を済ませて家に到着。衛生女の大量の荷物をなんとか部屋へと運ぶ。

 

「ふう・・腹減った・・。」

衛「私も・・さっそくお雑煮作っちゃおっか!」

「手伝おうか・・?」

衛「大丈夫・・一人でできる。」

少し自信のなさ気な彼女の表情が、少しだけ俺を不安にさせる。

 

衛「あっ・・これ実家のおせち貰ってきたんだ。良かったら食べて。」

「おお!ナイス!んじゃとりあえずビールで乾杯しよか。」

 

乾杯を済ませて、正月番組を見ながら一人でおせちをつまむ。

トン・・トン・・。

キッチンからはぎこちない包丁の音が響いてくる。大丈夫だろうか?

10分・・20分・・30分。

40分を過ぎる頃、俺はやっぱり不安になってキッチンを覗きに行った。

「じゅ、順調?」

キッチンでは衛生女が腕を組んで携帯を覗き込んでいる。

(もしやクックパッド・・?)

いや・・ここは下手な自己判断よりもネット上のレシピに頼ったほうが「安心・安全」である。

衛「大丈夫!大丈夫だから!気が散るから部屋に行ってて!」

鍋はシューシューと蒸気を吹き出していた。

「あっそう・・?(これ大丈夫じゃないヤツだ)」

俺は冷蔵庫からビールをもう一本取り出して、部屋へと戻った。

さらに20分ほどして、部屋のドアが開く。

 

衛「おまたせ☆」

「お、おう。」

 

彼女は味噌汁用のお椀を2つテーブルへと載せた。

出汁のいい香りが鼻をくすぐる。

 

衛「うまく出来てるかはわからんけど・・。」

 

俺はゴクリと唾を飲み込んで、お椀の中を覗き込む。

菜っ葉(カツオ菜)に丸いお餅に鰤、しいたけ、かまぼこ、鶏肉、人参と大根が所狭しと入っている。(他に里芋とかスルメイカなどが入ることも)

煮物で出てくると踏んでいた鰤や大根、そして鶏肉が雑煮の中にINしている。

これが福岡の雑煮か・・さすが食の街だけある。

餅と餅菜というシンプルを極めた名古屋の雑煮とはかなり違う。

愛知の雑煮

名古屋はマジでこのレベル。

 

「な、なんか豪華やね。いただきます。」

俺はズズッと汁を飲み込んだ。

「お・・美味い!」

少し濃い目の味付け(煮詰めたせい?)だったが、予想していたよりも美味い。

鰤も鶏肉も、そして初めてのカツオ菜も美味である。

「やるやん!衛生女やるやん!」

衛「やろ?私もお雑煮くらい作れるのだよ。」

自慢気に言う彼女。今日はちょっと頼もしい。

 

「さて・・おかわり貰おっかな?」

衛「え?無いよ。」

「何が?」

衛「おかわり。」

「え?」

衛「え?」

「・・嘘だ。」

衛「ちょうど二人分の分量で作っちゃったし。」

「マジで?あんなに手間かけたのに?」

衛「だって余ったら勿体無いし。おせちもあるし・・。」

 

1時間もかけて、おかわり無しとは・・。

逆に二杯分きっちりで作るの難しいと思うんですが・・。

 

衛「そかそか!そんなに美味しかったのねw また明日の朝作ってあげるよw」

初めて食べる彼女の雑煮はわずか1杯でエンドロールを迎えるのだった。

 

続く➡生理中のエッチは危険。妊娠しないは嘘だった。