バレンタインを忘れた彼女。強引に「サプライズ」にして行く

お前絶対バレンタイン忘れてたやろ!?

バレンタインデーから10日がすぎた。

苺女(もう一人の彼女)は東京へ行くことが、ほぼ100%確定してしまうという、ちょっと複雑な日でもあった。

結局、この年に貰ったバレンタインチョコの数は2個。(苺女とオカンからのみ)

 

(あれ?あれれ?でもおかしいよね・・?)

 

そう。俺は絶賛二股中。もう一人の彼女がいる(はず)なのである。

もう一人とは、衛生女のことだ。

 

考えてみれば、彼女からは、チョコレートを貰っていない。

少し自分の記憶を探ってみることにした。

 

「2月14日は空けといてね♡」だとか、

「YU君に渡したいものがあるの♡」

なんてメッセージを頂いた記憶もない。(そもそも♡の絵文字を頂いたことも、ほとんどない。)

無論、ケンカをした記憶もない。

「うん、これ絶対忘れてるね!もしくは自然消滅してる?」

 

さすがに悲しいので連絡してみる。

俺はモヤモヤとした気持ちになった。

 

「彼女としてチョコレートは渡すべきじゃないかな~。」小さく独り言を呟いた。

バレンタインデーは嫌いだが、そこは彼氏と彼女という関係。やっぱりこだわってしまう。

 

少し不安になりながら、LINEでメッセージを送ることにした。

 

「おつかれー風邪でもひいた?」

しばらくして返信が来る。

衛「いやひいてないけど。」

相変わらずのそっけないLINEである。業務連絡に近いものを感じる。

 

「いや最近連絡少ないと思って。」

衛「最近忙しいんだよね~。Aさん(もう一人の歯科衛生士)はインフルエンザにかかって休むし、シフトはぐちゃぐちゃだし。先生は決算が近いとかでピリピリしてるし・・。」

「それは大変だ。大丈夫?」

衛「休日出勤もさせられてストレスMAXだよ。個人の歯科だと融通効かないから、こういう時がキツイよね。」

 

さっそく仕事の愚痴のオンパレードだ。

衛生女とはセックスも会うし、容姿もそこそこ美人だけど、仕事でのストレスが溜まってくると、愚痴が会話の半分を占めるのが、たまに傷である。

 

彼女も忙しくて参っているのだ。ここは下手に刺激しないほうがいいだろう。

 

「無理しないようにね。衛生女も風邪ひいちゃったらいかんし。」

衛「うん。ありがと。連絡できなくてごめんね。来週には落ち着くと思うから会お。」

「おう、今日はゆっくり休んで。」

 

ば、バレンタインのチョコが少ないことは喜ぶべき事なのである。たとえ彼女がそれを忘れていたとしても。(泣)

突然の「会いたい」に違和感を感じる。

その日の深夜。

 

衛「明日なんだけど、時間できたから会いたいな。会える?」

突然、衛生女からLINEが届いた。

 

「え?会えるけど。」

衛「じゃあ仕事終わったら、YU君のウチに行くね。」

「おう。わかった。」(どしたんや急に。)

違和感を感じながら、俺は眠りについた。

彼女は「サプライズ下手系」女子

次の日の夜がやって来た。

仕事が忙しそうな彼女のストレスを和らげるため、居酒屋でも連れてってやろうかと思っている。

 

ポーンピーン!

午後9時頃に、インターホンがなり、衛生女が現れた。

 

「お疲れさん。今日寒かったやろ~。」

衛「外バリさむ!おじゃましまーす。」

 

冷たい空気をまといながら、衛生女が部屋に上がる。

そして慣れた様子で、ファー付きのコートをハンガーにかけた。

 

「飯は?食べた?」

衛「まだ、さっき博多駅でお惣菜いろいろ買ってきたから、一緒に食べようよ。」

 

彼女は袋から惣菜を取り出し、テーブルに広げる。わざわざ皿に移さないあたり、見栄えよりも、効率性を重んじているのがわかる。

しかも惣菜の多くは30%オフとかになっている見切り品だった。

一人暮らしの長さが生み出したエコ術だ。

 

衛「ビールも買ってきたよ。唐揚げ温める?お刺身もあるよ。」

「おお。サンキュ。」

 

(???・・今日は、下手に気が利くじゃないの。どうしたんや?)

 

ビールで乾杯し、唐揚げを頬張る。久しぶりのアルコールだ。旨い。

今日の彼女は妙に機嫌が良い。

 

衛「へっへっへっ!」

衛生女が不敵な笑い声をあげる。

「ど、どうした?なにがおかしい?」

衛「まあまあ。へっへっへっ!」

 

この謎の笑い方さえなければ、彼女はもう少し美人(に見えるはず)だ。

 

「なになに?怖いんだが。」

衛「これ・・なーにかな♪」

 

彼女が手に持っている何かを左右に振っている。

それは、赤い包装紙と金色のリボンでキレイに包装された「箱」らしきものだった。

 

衛「はい。あげる。サプライズばい!」

そう言って彼女は、その箱を俺の前へ差し出した。

 

「・・・ありがと。」

その急な流れに付いていけない。

 

衛「バレンタインおめでとう!」

俺はようやく、どういうことか理解した。

それよりも彼女のサプライズ下手っぷりに吹き出してしまった。バレンタインデーは10日前に終わってるし。

 

そもそもバレンタインって「おめでと」なのか?こいつ誕生日と勘違いしてないか?

 

衛「ふっふっふっ。チョコ貰えないと思ってたでしょ?実はそれ、計算されたサプライズだから!」

そう言って得意気にほくそ笑む衛生女。

 

(妙に「サプライズ」と全力で強調してくるあたり、絶対こいつ忘れてたわ。)

 

でも、ここは素直に喜んでおこう。彼女のド下手なサプライズが、可愛くで愛おしい。

部屋の中には、温かい笑い声が響く。

 

その後、いろいろ盛り上がっちゃったのは言うまでもない。

 

もうすぐ2月が終わる。平和な雰囲気で。そして激震の3月が始まるのだった。

ーーー終わりーーー

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