彼女の声に怒りを抑えて・・「逃げた理由」を尋問開始
大「もしもし・・YUちゃん。」
「え・・嘘?つながった。」
うっかり口に出してしまうほど、俺の中で大阪子と連絡を取るのは、かなり「難易度が高い」ことになっていた。
さて、何を話そうか?
大「あの・・ごめんなさい。」
先制パンチを繰り出したのは大阪子だった。
「え?な、な、何が?」
いきなりの謝罪に意表を疲れたが、煮えたぎった血は収まるはずがない。
大「その・・飛行機乗らなかったこと・・ごめんね。名古屋で待っててくれたのに。」
「ずっと待ってたんやぞ!うっ・・」
あかん・・出だしから涙でそうや・・。
今、泣いてはいけない。毅然とした態度で立ち向かわないと、大阪子に「スキ」を見せてしまう。
とりあえず、彼女がなぜこんな行動を取っているのかを知らなければならない。
「なんで飛行機乗らなかったの?もしかして体調悪かったとか?」
混乱していたので一つずつに絞って聞くことにした。
大「あの・・その・・グス・・グス・・ウワァァ—–。゚(゚´Д`゚)゚。—–ン!」
大阪子まさかの号泣である。泣くの?そっちが?泣きたいのはコッチでござるよ!
「あのさ・・泣いてちゃわからんじゃん。結構大事になっているんだから。飛行機乗らなかった理由はなによ?」
もはや「女の涙」ごときで動じる俺ではない。
大「ごめんなさーい!ウワーン!」
な、なんやコイツ・・。話にならんがな・・。
・・俗に言う「マタニティブルー」ってヤツか?俺は怒りながらもドン引きしていた。
しかも「俺がやりたいこと」を彼女は思いっきりしてしまっている。
「・・・落ち着け・・。落ち着くんだ・・・」
とりあえず大阪子が泣き止むまでの10分程度、瞑想モードに入る。
瞑想によって、コチラの怒りもだいぶ落ち着き、冷静な考えが戻ってきた。もしかしたらこれが「彼女の狙い」だったのかもしれない。
そして彼女からその理由が明かされるのだった。
ええ!彼女から出てくる「消えた」理由
「さて・・少しは落ち着いた?」
大「グス・・グズ・・うん。ありがとう。」
「それでなんであの日、こっちに来なかったの?」
彼女のしたその行為についてできる限りの「暴言」は思いついたが言うのはやめておいた。
大「うん・・あの日、ホテルをチェックアウトしてから、時間があったから・・」
あの日と言うと大阪子が飛行機に乗る日のことだろう。
「うんうん、それで?」
大「大通りにある占い師さんに占ってもらったんよ・・。結構当たるって有名な人。」
占いだと?あれあれ?なんか嫌な予感がしますよ?
大「急に妊娠してトントン拍子で結婚まで話が進んだやん?だから不安だったの。」
不安なのはお互い様でしたよ。
大「それでその占い師さんに占ってもらったの。いろいろ。このまま結婚して上手くいくのかとか・・」
案の定な方向へ話が進んでいく。
大「そしたら・・YUちゃんと結婚するのは・・」
「ストーップ!皆まで言うな!」
「お前は・・お前はそんなことで・・ぐぬぬ!」
「怒り」、「呆れ」・・様々な感情が体を駆け巡る。
俺は、冷蔵庫に駆け寄り、ビールを取り出した。グビグビ!
「プハー!お前!そんな大事なことを見ず知らずの『占い師』に決めてもらうんかい!」
憎い・・大通りの占い師が憎い・・。俺の頑張りは占い師の「鶴の一声」で無に帰したというのか?
占うならもっと早い段階にして欲しかった。タヌキ女と別れる前にでも・・。
大「それだけじゃない・・」
「???え?」
まだあるの?もうお腹いっぱいなんですけど?
大「本当は私・・名古屋に行きたくないんよ・・。私さ、札幌が好きだし、友達とも離れたくないし・・トータルでこの街が好きなの!(*´∀`*)」
「・・・ポカーン(コイツは何を言っているんだ。)」
好きなの!じゃねえよ!お前「友達」なんていねえじゃねえか!と脳内でツッコミながらも、熱が急激に覚めていく。
大阪子は思った以上に「馬鹿」だった。
どうやら彼女は「クズの極み」に達していたようだ。
俺に、少しは残っていた「愛情の欠片」もこの一瞬で砕け散った。
そして、この女のために怒るのもバカらしくなってきた。
「そかそか・・まあいいや・・一生札幌に住んだらいいと思うよ。はっきり言って、俺と結婚はしないってことだよね。」
大「・・・・」
「だけど子供はどうすんの?もうすぐ産まれるわけでしょ?占い師が言っただの、札幌が好きだの、友達が大事だの・・そんな自分勝手なことじゃ絶対育てられないっしょ!?」
ヤバイ・・酔っ払って書いてたら怒りが甦ってきた。
大「そうだよね・・でも・・」
俺は、こんな女に子供の「養育費」を払うのはゴメンだ。
「お前の言う友達もきっと男なんやろ?お前は女友達なんてできないタイプだし、お前は嘘つきだもんな。」
大「嘘なんてついてない!」
えええ?(‘ロ'(‘ロ'(‘ロ'(‘ロ’ )!!!
「だって大阪の実家にも帰ってなかったやん。結局、全部嘘!実家に帰ってるって言ってた期間、誰となにしてたんやろね?・・人に全部任せて。」
俺、ようやく「暴走モード」に突入。口が止まらない。
大「それは・・」
「だから今、お前が俺に言った、『理由』だの『言い訳』だのも内容がアホ過ぎて信用できない。俺はお前とは縁を切る!」
大「キイィイ!お腹の子供はどうすんのさアア!」
逆ギレで応戦する大阪子。電話の向こうで耳が痛くなるほどのキーキー声が聞こえる。
「子供に関してはしっかり責任とる。産まれたら俺が育てる。お前には任せられないから。でも・・お前は信用ならないから・・」
「産まれたらスグにDNA検査をしようと思う!」ドン!
大「え?D・・NA・・何それ?」
「本当に俺の子かどうか確認するための検査。これは絶対に受けてもらう。」
大「・・ふざけてん?意味がわからん!慰謝料請求すんで!」
もはや完全にキ○ガイの所業である。
だれか彼女の「取り扱い説明書」をくれ。・・なんで俺はこんな女と住んでたんだろ?時間を巻き戻せるならそうしたい。
「おうおう、そこは『結婚破棄』でお前にしっかり払ってもらうから。」
・・・それから大阪子とは電話でいろいろと揉めたが、とにかく「DNA検査」と「結婚しない」ということは確定した。
無事、俺は「独身」のままなのである。
結局、彼女は札幌にいるまま出産することになった。
そして二ヶ月が経った。
・・・いよいよ「XDAY」がやってくるのだ。