DNA親子鑑定の結果がメールで届く。(証拠画像アリ)
あまり見覚えのないメールアドレスからメールが届いていた。
題名には「鑑定結果のご報告」と記載されている。心臓が大きく脈打つ音が聞こえるようだった。
「とうとう来たか・・。」
あれ?息をのんで開くがメールの本文には鑑定の結果は記載されていない。だが2通の「PDF文書」が添付されていた。
一枚目の文書を開く。一部抜粋してみる。
親子鑑定結果報告書の理解ために
お客様の鑑定結果報告書は肯定また否定という鑑定結果だけではなく、鑑定された者の対立遺伝子のプロファイルも提供しております。鑑定結果報告書のよくご理解なさるために、以下の説明お読みください。
親子鑑定結果について
肯定の場合: 鑑定報告書は擬父が子供の生物学上の父親であること排除されないと示した時、総合父性指数が1000以上になっている。
総合父性指数が100以上になっている時、父性確率は99.0%以上である。
総合父性指数が1000以上になっている時、父性確率は99.9%以上である。
否定の場合: 擬父が子供の生物学上の父親であることを否定されると示した時、遺伝子座の中に一致ではない対立遺伝子は報告書に全部明記されている。その時、父性確率は0%である。
どうやら一枚目のPDFは「鑑定に関しての説明」のようだ、専門用語が沢山書いてあり、全く意味がわからない。
とにかく遺伝子情報を数値化し、娘(仮)と俺との総合父性指数が100以上であれば「俺は娘の父親」ということらしい。父性指数が100に満たない場合は父親である可能性はゼロだ。
まさに0か100しかない。(中途半端な結果が出ても困るけど・・。)
そして、もう一つのPDFが添付されている。
こっちが本番、検査結果は?(画像あり)
「こっちが本番か・・。」
現実を知ることの恐怖でマウスを持つ手が震える。だが先に進むしかない。
大きく深呼吸をしてマウスをクリックした。パソコンの画面に結果が大きく表示された。
「ま・・マジかよ。」鑑定結果は科学的かつ事務的に書かれていた。※書類が見つかりましたので掲載します。
- DNA親子鑑定の結果:親子関係 否定
- PCR法によるSTRローカスの解析の結果、擬父が子供の生物学上の父親であることは否定されました。親子である可能性は全くありません(0%です)。
- 「生物学上の親子である可能性0%」
- 複合親子関係指数:0
「ひ、否定しすぎいい!親子関係否定しすぎいい!」
俺は膝から崩れ落ち絶叫をあげる。
鑑定結果はYUTAROと大阪子の娘との親子である可能性をことごどく否定してくれた。
・・最悪の結果だ。いろいろなことが最悪の方向へと向かってしまった。
「ひ、ひっひっ・・」
声にならない嗚咽を含みながら泣く。身が引き裂かれる思いだ。
一体俺は何のために・・タヌキ女と別れてまで、大阪子と結婚しようと思ったのだろう?
何のために親に紹介して、新居まで用意したのだろう?
何のために、何のために・・・。
とんだピエロである。そして失われた時間はもう戻すことはできない。
怒りと疑念
俺は、奇声を上げながらしばらく大声で哭いた。きっとここで泣くことを我慢していたら、精神に異常をきたしていたかもしれない。
涙も枯れ果てた頃、ようやく落ち着きを取り戻した。そして一つの疑問が頭をよぎった。
「結局、あの赤ん坊は誰の子?」ということだ。
大阪子は確かに「妊娠」し「出産」していた。俺の子じゃないとしたら誰の子なのだろうか?俺には知る権利があるはずだ。
彼女から納得にいく説明が必要だった。俺は早速彼女にメールを送った。
「DNA親子鑑定の結果が出たよ。内容を見たら、俺は父親じゃないって書いてある。意味がわからないから説明してくれ。」
そして鑑定結果の内容を彼女にも転送した。
・・返事はあるだろうか?彼女ならそのまま「トンズラ」する可能性は高い。
しかし、大阪子が逃げたり、このまま音信不通になれば法的な手段も辞さない覚悟だ。とことんやってやる。
そして、3時間後・・メールが届いた。大阪子からだ。
大「本当にごめんなさい。許して。」
このまま許せるはずがない。メールでの謝罪など受け入れるつもりはない。
「許せない。絶対に。とにかく直接説明してくれ。」
大「わかりました・・3日後に名古屋に行くから。時間作ってくれますか?」
どうやら名古屋に来て直接説明するようだ。三日後大阪子に会い、説明を受けることになった。