判決13 海外旅行から帰ってきたアイツ

1ヶ月ぶりに海外に行ってたアイツと会う

9月の上旬も終わろうとしている。

ここ最近は、少し濃い目の日常を送らせて頂いたせいで、俺は無気力感にさいなまれていた。

もしかするとカス美の真実を知って、内心ショックを受けているのかもしれない。

「最近ちょっと胃の調子が悪くてさ・・。」

電話の相手は筑紫女である。

筑「それじゃあ骨休めに温泉行きましょうよ!」

セレブな海外旅行から帰国した彼女はまだテンションが高めだ。

「泊まりで行くのはちょっと・・。」

筑「日帰りでもいい温泉ありますよ!旅行のお土産も渡したいしw」

そんな感じで日帰りで温泉に行くことが決定した。

筑紫女とは沖縄旅行から約1ヶ月の時を経ての再会だ。

久しぶりに彼女のハツラツとした元気さに触れることができる。

俺は少しだけ気分が高まった。

 

土曜日がやって来た。空は高く青い。秋といえど、温泉に浸かるにはまだまだ暑い気がする。

とりあえず二人分のバスタオルとハンドタオルを紙袋の中に忍ばせて家を経った。

彼女の住まう筑紫野市は閑静なベッドタウン。そして福岡市からは微妙に遠い。

福岡都市高速の下をしばらく走る。

車の数は多く混雑しているが、太宰府辺りから少なくなってくる。

ここまで来ると筑紫野まではあと少しだ。

車の流れも早く、あっという間に彼女の実家の前についた。

筑紫女の家はキレイに整備された住宅街にある。

「ニュータウン」計画によくあるような一つの街がぽんと出来上がった感じだ。

だから同じような形状の家が多い。

それでもバブル期をまたいでいるせいか、豪勢な見た目の家もちらほら存在する。

「ついたよ♪」

そうメールを送る。

(早く出てこい・・。)

彼女の場合、実家なので父上、母上に出くわしそうで落ち着かない。

筑「YUさんおはようございます!とりあえずウチに上がってお茶でも飲んでいきます?」

筑紫女を迎えにいくと最近はいつも「上がっていく?」と言われる。

俺の焦りを感じ取って、からかっているのだろう。

「い、いや・・今日は遠慮しとくw」

筑「えーつまんない。いつも入ってこないじゃん。」

彼女は唇を突き出して、そう言うと車に乗り込んだ。

一刻も早く、彼女の実家から離れたい。

俺はすぐさまアクセルを踏み込むと、複雑な住宅街から飛び出した。

それでもスグに赤信号に捕まる。

「YUさんお久しぶりです・・チュ」

彼女は甘えた声で俺の汗ばんだ頬に軽くキスをする。

さすが「キス=挨拶」の国に行ってきただけはある。

今日はいつもの「おはよう」とは違う。

ーーーつづくーーー

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