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本音「花火大会は人が多くて行きたくない。」行ってみた結果。関門海峡花火大会編

目次

彼女に『ウォーカー系雑誌』を見せて「花火大会行きたい」で地獄確定。

8月12日。夏バテ気味で体が重い。

鹿児島から帰ってきてから、台風が通り過ぎたように日常は落ち着きを取り戻す。

俺の隣では苺女が『九州ウォーカー』を読み漁っている。彼女はいつものように仕事終わってからウチに泊まるコース。

飲食店という仕事の関係上、彼女にお盆休みはない。

でも明日から二日間の休みとのこと。この時期によく休みが取れたもんだ。

問題は、二股中のもう一人の彼女の衛生女とガッツリ休みが被ってしまった事である。

家デートばかりなので彼女サービス

(来る・・そろそろ来る!)

 

苺「ねえここ良くない?景色が凄くキレイ!」

彼女が開いたページを指さして言う。

 

「ふむ・・。いいね。キレイだね。」

苺「でしょ!明日一緒に行こうよ!私も運転するし。」

「そうだなあ・・。いいよ。行こうぜ。」

 

ここ最近は家デートばかりだったので、そろそろ彼女サービスが必要だ。

ただ本音は、

(暑いしお盆とか絶対混むじゃねえか・・できればクーラーが効いたとこで過ごしたい。)

 

この辺がオッサンと若い20代前半女子の行動力の違いである。

20代の頃は好奇心が勝って、行動力も旺盛だったが、30代になってからいろんなことが『面倒』に感じる。

関門海峡花火大会に行きたい?

苺「え?嘘!」苺女が大きな声でつぶやく。

「え?なになに?台風でもくんの?(期待)」

苺「違う!明日関門海峡の花火大会だって!奇遇ぅ!」

えー・・。奇遇ってなによ。行きたいの?行く気なの?

 

「もしや花火大会に行きたいのですか?」

苺「行こうよ!今年大濠のも行ってないし・・・。花火見たい!」

彼女は目をランランと輝かせた。

花火大会はDQNの宝庫

花火大会とか人口密度ヤバいじゃねえか・・。花火大会と言ったらDQNの宝庫じゃねえか・・しかも北九州とかDQN界の宝島じゃねえか・・。(北九州の方すいません。)

嫌だ嫌だ行きたくない。

「ワカッタ・・イキマショウ。」

俺は白目になりながら答える。

 

苺「やった!他にもいい所がないか探してみるね!YUちゃんも行きたいところあったら言ってね!」

「oh・・・マカセマシタヨ。」

 

いよいよスイッチの入った彼女は、雑誌やスマホを見ながら、何やらメモを書き込んでいる。

彼女によって明日のデートプランが綿密に決定されていく。

俺は突然訪れた、明日の関門海峡花火大会に備えるべく、自らのスイッチを切って、動かないことに決めた。

花火大会に向けて出発。テンションは低空飛行。

夜が明けて8月13日。

 

「おっしゃ!行くで!準備はええかえ?」

苺「うん!大丈夫!出発しよ!・・えへへ楽しみだな。」

久しぶりの遠出とあって苺女も心底楽しそうだ。

 

二股中の彼女から連絡アリ

しかし、俺としては複雑な気分である。衛生女からメールが入っていたからだ。

彼女はいつもタイミングが悪い。

衛「昨日から実家に帰ってるよ~♪」

メールには写真が添付されており、彼女の実家のお姉様とのツーショット写真が送られてくる。

 

「YUくんは今年は名古屋の実家に帰らないんだよね?」

「うん。かえりまてん。」

衛「そう。私は明日こっちに帰ってくるよ。」

「久しぶりの実家なんだからもうちょっとゆっくりしてったらいいのに。」

衛「折角の連休なのに会わないの?」

「会えるけど?」

衛「明日は?」

「明日は都合悪いから・・明後日ならOK。」

衛「8月15日?最終日やん・・。じゃあどっか行きたい。」

やっぱりそう来るよね。お盆だもんね。

「どこ行きたいの?」

衛「高千穂(たかちほ)に行きたい。パワースポット行きたい。」

 

衛生女には珍しく場所指定である。

なんだよパワースポットって。なんだよスピリチュアルって。・・日本語で頼むわ。

「よっしゃ・・わかりました。タノシミダナー」

精神的にも体力的にも自信が無いまま・・・地獄行脚が確定した瞬間であった。

関門海峡花火大会に向けて下関へ

苺「なんか今日は道が空いてるねえ。良かったねえ。」

九州中から人が集まる福岡は多くの人が地元に帰省しているためか、街を走る車は思った以上に少ない。

渋滞も無いままに、太宰府ICから高速に載って北九州方面へと向かうのだった。

 

山を越え、トンネルを抜け、車は東へと向かう。

いつも以上にキャッキャ!とはしゃぐ苺女が可愛らしい。

 

苺「うわあ!ドライブしてるとなんか一緒に鹿児島に行った時の事思い出すね!あっ!雲仙も楽しかった!なんだかんだで色んな所連れてって貰ってるね。」

ドキッ!!!

一瞬、心臓が強烈に波打って破裂しそうになる。

鹿児島には最近行ったばかりだから。そして浮気して来ちゃったから・・。

 

苺「そう言えば鹿児島はドコ行ったの?」

「ち、知覧のあれだよ。あそこだよ。」

苺「あそこ行くと凄い悲しくなるよね・・。てかYUちゃんって意外と真面目なところあるんだね。」

(知覧に行って尚、すっごい不真面目なことしてきてるよ~!!)

苺「YUちゃんって旅行するの本当に好きだよね。」

「・・うん。ごめんね。」

苺「え?なんで謝るの?」

キミの彼氏は正真正銘のクズである。

花火大会をベストポジションで見る為、デートプラン全却下。

源義経

高速に乗った車は北九州・・を通り越して下関へ。

デートプラン全部却下

キタキュー(北九州)で一日遊べる所と言えば、スペースワールドという遊園地が有名だが、このクソ暑い中で乗り物に乗るために並ぶのはキツイ。

じゃあスペースワールドのプールで遊ぶという意見もでたが、俺は「ハゲ&中年太り」なので却下。

 

門司区にある門司港レトロには何度も行ったし、長時間潰せる場所ではない。景色がいい皿倉山も・・なんとなく却下。

「駐車場確保できない」不安を煽る

苺女からは山口県の「角島」「萩」なんて意見も出たが、全部行った事があるし、

「あんまり遠出すると花火大会の時に駐車場が満車で停められないかも?」と不安をあおりつつ却下。

 

つまり前日に苺女が遅くまで調べていたプランはほぼ却下ということになる。すまねえ・・。

結果的に「花火大会会場から近いの下関市街あたりで一日潰そうぜ」ということになった。

この判断が後に功を奏し、功を奏さないことになる。

下関へ到着。すでに駐車場が混んでる。

俺たちは午前11時。スムーズに下関へと到着。

 

「やべえ・・なんか既に駐車場めっちゃ混んでる。」

 

観客動員数100万人以上。日本でも10本の指に入る(動員数)と言われる花火大会は違う。

 

なんとか花火大会会場から目と鼻の先にある海響館の駐車場に停車。

もう少し遅かったら車を停めることができなかったかもしれない。

 

苺「わ!わ!屋台がいっぱい並んでる!お祭りって感じだねえ!」

一気に苺女のテンションが上がる。

下関市の定番デートコース「唐戸市場&赤間神宮&海響館」

とりあえず関門海峡花火大会までの時間はまだまだある。

俺達は会場近くでデートをして時間を潰すことにした。

「よっしゃ!とりあえず飯食おうぜ。」

唐戸市場の回転寿司「海転からと市場寿し」

苺「唐戸市場行きたい!」

つーことで唐戸市場へ。

唐戸市場

お寿司

唐戸市場は、観光客向けに開放されており、いつも新鮮なお寿司が食べられる下関の人気スポット

「ふふっ!夏は市場内にある回転寿司屋のほうがいいんだぜ(涼しいから。)」

 

夏場は、結構暑い場所(混んでいると炎天下の屋外)で食うことになるので、『通』は涼しい場所で回転寿司『海転からと市場寿し』で食べるのである。

※個人的に生暖かい場所で生物を食べるのが苦手なだけです。夏場は福岡の屋台もキツい。

海転からと市場寿司

ということで唐戸市場の二階にある回転寿司屋へ。

 

「うひょ!涼しい!」

苺「何食べる?ねえ何食べる?」

 

「そこはマグロとかハマチでしょうが!あとは・・納豆巻き(庶民)」

苺「私は・・やっぱり下関だからフグ!あとは・・うにと・・中トロ!」

(おいおいおい!全部420円のヤツじゃねえか!)

 

「苺女ってサーモン(190円)好きでしょ?それも頼んだら。」

苺「あっ!忘れてた!YUちゃんありがと!」

「いいってことよ!」

耳なし芳一の赤間神宮

寿司で空腹を満たすと、やはりお次は『観光』である。

赤間神宮

とりあえず涼しいので下関に来るときにいつも気になっていた(なんかカラフル)謎の神社仏閣に突入。

そこは赤間神宮という。あの『耳なし芳一』も祀ってある

俺の日本昔話印象に残っている「怖い話部門ランキング」上位だ。

そして「耳にお経を書き忘れて、平家の怨霊にお耳取られちゃう」という昔話界のうっかりさんだ。

耳なし芳一

「芳一実在しとったんか!ワレェ!」

階段の上り降りで汗だくになると、一時ジュース休憩。

カップルで行きたい。海響館

「お次は海響館(下関の水族館)だい!走れ!」

苺「うっす!」

そこは魚達のアメージングワールド。

海響館

キラキラと自由気ままに泳ぐ、魚はまるで流れ星。

 

「ふう・・水族館楽しかった・・」

苺「うん!駆け抜けたね!」

早入りしすぎてやることが無くなる。

周りを見るとさっきよりも人が増えてきている。屋台も開店の準備を始めている模様。

 

「お!もう少しで花火上がるんじゃね?今何時?」

苺「・・えっと・・まだ午後三時前・・だと?」

「んで何時から花火は上がるの?」

苺「・・・午後7時・・50分からだとおお!?」

「何だとおお!まだ4時間もあるやん!!」

 

(もう・・やることがない。)

※面白いPRムービー見つけたんで見てみてねw(下関市と北九州市の共同制作らしいです。)

花火打ち上げ開始時間までの待ち時間はどうする?

「ヤルコトネエ・・。」

苺「アツイ・・。」

 

二人で関門海峡や、その向こうに見える小倉の町並みを眺めたり。

カフェでお茶したり、屋台をぶらついたりするものの一向に時間は進まない。

 

さっきまでの「時間を気にしない」カップルデートから一転、

「ここで数時間待たなければならない」という状況に置かれると、時間が進むスピードも遅く感じるものだ。

「動きたいけど動けない」

苺「どっか行きたい・・。」

「いやあ・・せっかく近くの駐車場に停めれたんだし。車出すともうここには停められないよ?」

 

徒歩の下関観光も考えたが、すでに歩き疲れている。

そもそも下関駅周辺にはたいしたものがない事は知っている。

花火が始まるまでラブホで休憩もアリかと思ったが、スマホで調べてみると最寄りのラブホは下関駅のあたりにしか存在しない。そこまで行く気力がない。

車で来たなら寝る

「うーん。どうしよ・・。いっそ車に戻って仮眠でも取る?」

苺「あっ・・それ名案かも。YUちゃんのワゴンなら後ろで寝れるしね。」

ということで僕達のHPの回復も兼ねて、車に戻る。

 

エンジンをかけ、エアコンを付ければ快適だ。バッテリーが上がらないか心配だが。

後ろの座席を倒して、二人は川の字に寝転がった。『川』というか『ニ』だな・・。

 

「おお・・楽だわ。涼しいし!これなら残り3時間くらい余裕!余裕!」

苺「ねえねえ!」

「なになに?」

苺「私たち花火大会の会場で、ゴロゴロしてると思うとなんか優越感あるよね!」

彼女が意味不明な事をハイテンションでつぶやく。

「うん!わかる!わかる!」

全然意味がわからなかったが、とりあえず相槌を打っておいた。

 

苺「YUちゃんギュってしてえ~」苺女が突如『甘えモード』に入る。

「いや・・Tシャツが汗でビチョってるよ?」

苺「いいの。してえ~」

若い女はこういう所が可愛い。

そんな感じでキャッキャ!ウフフ♡チュッチュ!ウフフ♡

 

だがこちらサイドの花火をまだ打ち上げるわけにはいかない。

そうこうしていると、いつの間にか寝てしまった。

見つけた優越感

ガヤガヤ・・ザワザワ・・。

「んん???」

人の気配を感じて目を覚ます。

 

上体を起こして、恐る恐る窓から外を見る。

「んおおお!!」

するとさっきまでとは比べ物にならないほどの人だかり。

 

苺「花火大会の会場で、ゴロゴロしてると思うとなんか優越感あるよね!」

こ、こういうことだったのか・・。彼女が言いたかったのは・・。

 

打ち上げ開始まで一時間を切っている。もうすぐ最初の一発が上がる。

俺は優越感に浸りながら、可愛いあの子の横で再びゴロゴロを始めるのだった。

関門海峡花火大会スタート!打ち上がる花火に大興奮!

下関界隈にどんどん人が押し寄せ、ガヤガヤと周りがざわついてくる。

「ま、祭りや!」

そうなると、こちらもウォーミングアップを始めるわけだ。

 

「よし!そろそろ外に出ようか!」

苺「うん!」

二人は車から飛び出した。

お祭りムードにテンション上がる

当たりは既に人人人。普段はガラーンとしている下関にもこれだけの人がいたとは・・。

腕を組んだ浴衣姿の若い男女が、一組・・また一組と目の前を通り過ぎる。

 

苺「・・私も浴衣着てくれば良かったばい。」

「あー持ってくれば良かったね~車だし。」

苺「来年は浴衣着て来ようね。」

悪くない提案だ。時間の潰し方もわかった事だし。

 

二人で屋台を巡り、焼きそばや箸巻き、フランクフルトを買って食う。

コスパの悪い食い物も、この空気の中で食うと旨い。

そんな感じでお祭りムードを満喫していると、時間はあっという間に過ぎていく。

 

ヒューーーーーーー!ドン!

始まりの合図。一発目の花火が上がる。

 

至近距離で聞く花火の音に、周りの誰もが一瞬静まりかえり、関門海峡へと目を向ける。

「ふううう!」

「わあああ!」

そして一気に会場は沸き立つ。

 

ドン!ドン!ドン!

テンポ良く、夜空に大輪の花が咲く。花火が開く度にズンと内臓に響く。

 

「わああ!めっちゃキレイ!」彼女が言う。

「おおおお!すげえね!」

咄嗟に出てくる言葉なんてこの程度だ。

 

本州と九州をまたぐ関門海峡花火大会

関門海峡花火大会は、本州(山口県下関市)と九州(福岡県北九州市)の両県を跨いでの珍しい花火大会である。

観客動員数は120万人と西日本最大級。約1万3千発(両岸合計)の花火が打ち上げられる。

面白いのが関門海峡を挟んで門司側(北九州)、下関側の両岸(下関側は二箇所)から花火を打ち上げるところだ。

どちら側も趣向が違っていて、そして下関側は水中花火が有名。門司側は音楽に載せてリズミカルに花火が上がるらしい。

※上手く撮れている動画をお借りしましたので、どんな雰囲気か味わいたい方は見てみてね。

 

大輪の花火が夜空を飾った。一層大きな拍手が沸いた。

ゆっくりと消えていく炎が花火大会の最後を物語っている。

さっきまでの賑やかな光と音の競演が止むと、やはり少し寂しい。

 

苺「すごい良かったね。門司側でも見たいなあ・・。」

「よし来年は門司のほうに行ってみよう。」

来年の楽しみができた。

大渋滞で全然帰れません!

ぞろぞろと人混みに流されながら駐車場へ到着。

「よし!帰んべ!」

そして俺たちは気がついた。まず人の波が途絶えず駐車場からなかなか出られない。

ようやく出れたと思ったら次は道が混みすぎて進まない。

「え・・え・・?なにこれ。」

すぐそこにある高速の「下関IC」までが一苦労。そして次は北九州まで大渋滞である。

会場の近くに車を駐めると終わる。

俺達は「今回のような多くの人が訪れる、花火大会の会場近くに車を駐めると、その分帰りはめっちゃ遅くなる。」という教訓を得るのだった。

「今何時?」

苺「もう0時回ってるよ。」

花火大会後はラブホテルが空いてない。

「えー・・。ちょっとホテルで寝ても良い?・・限界だわ。」

苺「・・賛成。」

「よし探してみるわ。」

ネットで調べるも、花火大会の会場近くのラブホテルはどこも満室のようだ。

「打ち上げ花火を見た後は、俺達も打ち上がろうぜ!」

そう多くのカップル達はこんな発想に至る。

だから花火大会の後は、会場近くのラブホがほとんど埋まるのである。

俺はあきらめて自宅まで車を走らせることにした。

離れた場所のラブホなら空いてる。

「もうアカン・・眠すぎてこのままだと事故る。」

苺「え?大丈夫?運転疲れたよね?どっかで休んでく?」

そこは思いやりの塊、苺女である。高速代をケチるマンの俺は「鞍手IC」から、九州自動車道を降り3号線を走っている。

一日動き回った疲労からか強烈な睡魔が襲ってきていた。

福岡市まではあと少し・・。その「あと少し」が走れない。

およそ30キロほどの距離だが、もう限界だ。

 

若い頃は福岡から名古屋までの道のりを下道で20時間近くかけて帰ったものだが、今は半分も走れないだろう。だってオッサンだもの。

 

「会場から離れた場所だしここらへんならラブホあるかな?」

苺「わかったネットで調べて探してみるね!」

苺「えっと・・この近くだと宗像のホテル宗像パルって所があるよ。」

「よし・・電話番号教えて・・ナビに入れる・・から。」

途切れそうな意識の中、電話番号をナビに入力する。思ったよりも近くだ。でかした!

俺は最後の力を振り絞ってハンドルを握り、アクセルを踏み込んだ。

(つ・・着いた。)

知る人ぞ知る『パル』は九州各地でラブホを営んでいるラブホグループだ。ここはフードメニューがなかなか充実している。そして料金もリーズナブルだ。

 

苺「わあ!和室がある!YUちゃんここが良い!」

「・・温泉宿でもないのに和室とはこれいかに。」

苺「だって落ち着くばい。」

なかなか渋い趣味やね。だからこんな汚いオッサンと付き合っているのか?

 

苺「今日は運転頑張ってくれたから私が払うね。」

「おま!・・目頭があつうううい!」

彼女の思いやりに涙をこらえながら和室にチェックイン。

ハンドルキーパーを再生するビール。

苺「わあ!いい感じ!でもちょっとタバコ臭い。」

「タバコ臭いのはラブホ・・いやホテルの宿命なのだよ。喫煙者代表で謝るわ。」

そう言いながらタバコに火をつける。

運転から解放されての一服は五臓六腑に染み渡った。

 

苺「じゃあお風呂入れてくるね!YUちゃんはビールでも飲んでて!」

気がききまくりクリスティである。

お言葉に甘えてフロントに電話して発泡酒二杯とたこ焼きを注文。

 

苺「YUちゃんお風呂バリ広かったばい!」

「おうソレは何よりだぜ。後で一緒に入るか?」

苺「うん。ビール飲んだら入ってきて♪先に入ってるから。」

「え?一緒に飲まないの?」

苺「ちょっと長風呂したい気分だから・・。私の分も飲んでていいよ。残ったの飲むから。」

「仕方ねえ・・」

苺女が再びバスルームへ消えていくと、チャイムが鳴り発泡酒とたこ焼きが到着。

(ビールは入れたてが旨いのに・・もったいねえなあ。)

そう思いながら喉の奥に流し込む。

 

「ぷはあ!生き返る!グビグビ!」

 

たこ焼きをアテにジョッキをあっという間に飲み干した。

アルコールが体に染み込んでいく。

「あ・・あれ?嘘・・なんか凄い酔った・・え・・?」

 

俺は疲れていて、眠かった。それを忘れていた。

「あ・・これダメなヤツだ・・。ベッドで・・ちょっとだけ横になろう・・。」

俺はふらふらと畳からベッドへと移動し、力尽きるように倒れ込んだ。

意識が途切れるのはあっという間だった。

 

(・・・・???)

目を覚ます。天井を眺めながらここが自分の部屋でないことに気がつく。

横を見ると苺女が「ズゴ・・ズゴ・・」と小さなイビキをかいている。

思い出した重要な約束

(あっ・・あのまま寝ちゃってたんだ。とりあえずシャワーだけでも浴びるか・・。)

今は何時だ?時間を確認するためにスマホを手に取る。

(えー!もう10時前!?)

しっかり7時間以上寝てしまった。腰が痛いわけだ。

 

(なんか・・忘れてるような・・気がする。・・すごい重要な事のような・・。)

そう思いながらスマホのロックを外した。

LINEの通知が10件以上来ている。

 

(え?衛生女から?ん?・・・え?え!?え!?)

 

「AHーー!!!」

 

一瞬で昨夜の花火の感動も忘れ、思い出したのは重要な約束だった。

 

続く➡俺・・ついにボケる!