広島でお好み焼きを一緒に食べてくれる相手を募集
水を自販機で買って大量に喉の奥に流し込む。それから昼ぐらいまで車で眠った。あれだけ激しかった頭痛はなんとか収まった。
(よし!いけるか?)
今日の出会い系アポの予定はないが、広島あたりでホテルをとってゆっくりしようと思う。
下関⇨山口200キロの移動がキツイ・・
最悪なコンディションの中での下関⇒広島間を移動しなければならない。下関市から広島市内は約200キロの距離。
いまの自分のグロッキーな状態では、下道でギリギリ走れる距離だ。
旅には欠かせない、相棒「じゃらん」で広島のビジネスホテルに宿をとると、車を東へとスタートさせた。
さすがに午後8時までには到着できるだろうか?
防府市、周南市と国道二号線を東へと進む。
山口県の一番東にある市の岩国市に入った頃には、空腹もかなりひどくなってきた。
広島人の県民性
広島人のカープ愛は強い。広島の多くの飲食店では、カープのペナントなんかを掲げている店は多い。
全国の広島出身者は各地で、広島東洋カープのファンクラブを結成し、日頃試合を応援している。
そんなYUTAROも中日ファンでありながら、広島も大好きだったりする。某カープ会なるものに参加させていただいたりもする。
広島人の来るもの拒まずな懐の深さは県民性かしら?
お好み焼き食べたい。でも一人は寂しい
さて、東へ東へ。 午後の6時を回ると、さすがに腹が減ってくる。昨日の下関ではしゃぎすぎた反動で、今日はなにも食べてない。
「こってりソースのたっぷりかかった広島のお好み焼きが食べたい。」一人食うのはさみしい気がする。
一人の外食は慣れているが、出会い旅が続いてアポで二人ご飯が続くと、何故か一人で飯を食べるのが辛くなってくるのだ。
それに現地広島の人間とご飯を食べるのはいい刺激になる。でも繁華街に出向いて、ナンパなんてできない。
ワクワクとハッピーメールの掲示板で相手を募集
こういうときに出会い系はすこぶる便利だ。
出張なんかでいろんな場所へ行く人は、現地に親しい人ができるだけでも楽しみが増える。
俺は、ダメもとでハッピーメールとワクワクの掲示板に書き込むことにした。両サイトともに一日一回は無料で掲示板に書き込みができる。
少しだけプロフィールの地域を「広島」に変更しておく。これも広島で相手を探すにはやっておいたほうが良いだろう。反則の「ザ・住んでる」体です。
YUTAROはいつも、プロフィール検索からメールを送っているんだけど、今日のように突然アポがしたくなるときなんかは掲示板も使う。掲示板のほうが突然のアポには向いている。
「飲み友やご飯ともから仲良くなれる人いませんか?最近広島に住み始めました。まだこっちの良いお店とか全然詳しくないんで教えてください。楽しいやつなんでいっしょに楽しい時間をすごしましょー!ちなみに今日はお好み焼きが食べたい気分です!」
即席文章だけど、誰かメールしてくれるかな?
男をタクシーとか財布と思って掲示板に書き込んでる女はウザい。
ちなみに女性の書き込みを見てみると、
- 「広島市から尾道まで送ってくれる人いませんか?」
- 「焼肉が食べたいです。ご馳走してくれませんか?Hはなしでw」
などど毎日のように書き込んでいる女性がいるので、男性ユーザーをタクシー代わりや、ただの財布だと思ってる女は、マジで勘弁してほしい。
もちろん真面目な書き込みをしている女の子もたくさんいるのだが・・。
広島ガールから、返事は来たのか?
だめならカップラーメンでも食って寝よう。疲れもたまってるし、明日の移動もかなり長い。
コンビニでコーヒーを飲みながらの片手間での書き込み。 再びハンドルを握るとYUTAROは走りだした。
広島市までの距離数を載せた道路看板が見えてくる。
(そろそろ誰かから、返事が届いてからも良い頃かな?)
YUTAROは期待を胸に、携帯を手にするのだった。
掲示板に書き込んだ成果を確認
結果は・・ワクワクで2件ハッピーメールで3件のメールが来ていた。
書き込みに対して思った以上の反響があったことにビックリ!
もしかして俺はイケメンなのか?さてさて・・内容はどうかしら?
女A「掲示板みました。割り切り募集なんですけど大丈夫ですか?」
あの・・援交じゃなくてお好み焼き食いに行きたいんですが・・。ワクワク、ハピメあるあるだな。
女B「私もお好み焼き食べたいでーす。おごりですか?」
プロフィールはポッチャリ。さらに自己PRの欄に「激ポチャ体重3桁」と記載してある・・。
うーんちょっと百キロオーバーはキツイ・・。もちろんおごりだけど、食う量で破産しそうなのでパス。
女C「よろしく。」
句読点も含めて、たった五文字かーい!何も伝わらねえ!
YESなの?あの・・ちゃんと書き込み見てる?
残念な結果に疲れがどっと湧き出してくる。でもまだ2通残っている。これを見ずにあきらめるわけにはいかない。
女D「お好み焼きいいですね~食べたいです。まだ相手が決まってなければ返事ください。」
お!ようやくまともな返事・・・体型の欄がヒミツになっているのが気になるが、写メ画像は結構かわいいのでとりあえずキープ!
女E「20歳学生です。掲示板みました!一緒にご飯たべましょう!」
20歳ですか!採用!大学生かな?体型は普通。写メはないが、若いってだけでアポ最有力候補に踊り出る。
返事をくれた、5人のうち2人に絞る。
返事のあった5人のうち、二人に絞る事になった。
そして、有力候補の2人に、
「今、帰宅中なんで帰ったら返事しますね~ちょっと待っててね!」と返事をしておく。
なんとか渋滞を乗り越えて、広島市内に入る。
今日はリーガロイヤルホテルに泊まってやるぜ!なんて思いつつ、チープなビジネスホテルにチェックイン。
値段の割に思ったよりもベッドが大きくて得した気分。
昨日は風呂に入っていないので・・頭皮がかゆい。一本タバコをふかすと、シャワーを浴びて、汚れを落とす。
すっきりした後は、いよいよアポの女性を一人に決めなければならない。
急なアポは流れやすいので出会いまで行くかはわからないけど、とりあえず頑張ってみるお(´∀`*)
最有力候補の20歳の学生にメールを送る。
YUTARO「おまたせしました!帰宅しました。今日、ほんとにお好み焼き一緒に行ってくれるのかな?めっちゃ楽しみです!よかったらメアド教えてほしいな!」
ちょっと焦ったメール内容になってしまったが、「今からアポしてお好み焼きを食う」という事自体が高難易度だ。
YUTAROは20歳の女学生(女E)にメールをして反応を待つ。
いきなりメアド交換を切り出してしまっているあたり、余裕はない。時間は一刻を争うのだ。(腹が減りすぎて)
しばし返事を待つ。何度更新ボタンを押したことか・・・。しかし、新着メッセージが表示されない。
こんな時、ハッピーメールで返事があった子も同時に進行してしまえば、可能性も増えるかもしれないが、そこは意外と律儀な俺である。
10分、15分と時間がすぎていく。気がつけばもう8時半。
「空腹もピークでございまーす!」
サ◯エでございまーす!的に叫んでみる。
「はやく、返事くれよ・・・」
YUTAROもあきらめかけている。そんな時・・・。
「新しいメッセージがあります。」
返事キタ――(゚∀゚)――!!
指が踊る!心が騒ぐ!
早く!早くメールを開封するのだ!ボタンをポッチっとな!
女E「すいません!もう今日のご飯食べる人決まっちゃいました~また今度一緒に食べましょう~」
・・・悔しいです!
この返事の感じからすると、出会い系でご飯をおごってくれる男と、何度もアポしている感じだな・・・。こなれてやがる!
「こんな子が第一候補だったとは・・。俺の女を見る目もまだまだだな。(自己防衛)」
出会い系で何百人の女と会ってきて、若さだけで何も考えずに第一候補にあげちゃうところが、オイラもまだまだ修行が足りない。
精進するべきだ。いつか心眼が使える日まで。(もう、出会い系サイトやる目的が変わってきてる。)
断られたとたんに文句タラタラ。まず人として成長するべきだ。
「もう・・時間がねえや・・これは腕の見せどころだな。さて本気出すか。」
悔し紛れに、一人でつぶやく。
5人から返事が来たのに、残るはハッピーメールでやりとりした女性のみ。
年齢は20代後半で体形は「ナイショ」になっている。でも、写真が掲載されていて、可愛かったので問題なし!・・なはず。
俺は、急いでサイトにログインする。んん?メールが来ているではないか!?
そういえば、「ちょっと待っててね!」とメールしたまま、確認していなかった。
絶望的。メールが届いたのは1時間半前。
女D「今、仕事終わりました!YUTAROさんも仕事終わりましたか?楽しみにしてますね~返事待ってます!」
きっとの女学生のように他に相手を見つけてるんだろうな~。家に帰っているかもしれない。悪い方に思考が進んでいく。とにかくダメ元でメールを送ってみよう。
「すいません!いま終わりました!今からでも会うの大丈夫ですか?もうご飯食べちゃったかな?」
願いをこめて送信!!頼む!この状態でカップ麺をすするのは、寂しすぎる。
さっきまでの「会えなかったら別にいいや!」というあきらめも含んだ感じから、今は「なにがなんでも誰かとお好み焼き食うたる!」と意味不明な意地が出てきている。
「もう一人で食べればいいじゃん・・。感情に流されると冷静な判断できないよ・・。」
俺の頭の中で誰かがささやく。まさしくそのとおり。
焦りからか、トイレが近くなり、風呂から上がって3回もトイレに行っている。これが最後!メールボックスを確認してみる。(しつこい)
「メッセージアリ!」
YUTAROは急いで確認を進めるのだった。
期待を込めてメール開封!
女D「返事が来ないんで、あきらめてましたよ~今からですか?大丈夫ですよ!どこで食べます?私はいまパルコで買い物してました~✩」
・・・これってOKってこと?天は俺を見捨てていなかったのだ。
「すいません!遅くなっちゃって!広島パルコですね!んじゃ30分後にそっちに行きますね!よかったら、アドレス交換しません?」
すぐに返事が返ってきた。
女「いいですよ~んじゃ30分後にパルコのどこにします?私のアドレスです。」
よっしゃ!アドレスゲット!さっそくもらったメアドにメールを送信する。
これで、今日のアポは確実性が高くなった。
YUTAROはパルコに向かう準備に入るのだった。まずはパンツをはいて服を着なければ。全身鏡に映っただらしない腹が悲しい。見なければよかった。
「・・でも広島のパルコってどこだっけ?」
出会い系の旅で広島には何度も来ているが、長い旅路でこんがらがってしまっている。
広島の市電を使うのも、不慣れなので危険だ。そして車は酒が飲めない。
移動の選択肢は減っていく。
「待ち合わせまでの時間も少ないし、タクシーでいくっぺ。」
すぐにアポれる女は、出会い系慣れしてる子が多い。
「服よし!財布よし!携帯よし!髪なしいい!(景気づけにいつもやる)」
身だしなみのチェックは大事だ。ビジネスホテルを出る。大きい道路に出ると、タクシーを拾うために右手をかかげた。
急げ!急げ!待ち合わせ場所には、5分前に着いておきたい所だ。特に最初に会う相手の場合は、待ち合わせに手間取ることが多い。
広島のデートの女の子を紹介。
ということで今日の相手の紹介をしたい。
名前 | お好女 |
---|---|
年齢 | 20代後半 |
職業 | お水系 |
出会ったサイト | ハッピーメール |
ハピメの掲示板に書き込んだことで、急に会うことになった広島のシティガール。いつもは入念な計画のもとに、アポの予定は決めるが、今回はそうも言っていられない。
アポまでのメール数は、わずか数回というレアなケースだ。普段であればメッセージのやりとりを繰り返すことで相手の警戒心を解いていく作業も必要になる。
すぐに会える子の特徴と性格
出会いまでの時間が短いのは、相手の性格にも大きく関係している。
今までたくさんの女性と会ってきたが、共通点として以下のことがある。
- 出会い系経験値が高い
- 警戒心が低く、サバサバとした性格
- 恋愛感情が沸かない女が多い
- セックスできるかできないがハッキリしてる
警戒心が低く「とりあえず会っとけ」的な男勝りの性格なので、出会い系や恋活アプリでの経験値もスピーディーに積み重ねてきた女子が多い。
そのせいか、初々しさや、恥じらいに欠けている部分がある。
経験値の高い女との対決
「玄人VS玄人」・・これはちょっと楽しみなでもある。
お好女はハピメに画像を載せていて、それがまあまあかわいかったので、YUTAROの期待値も高い。
会うまでの時間が短いので、それ以外はほとんど不明。詳細なスペックなどは未知数だ。
こればっかりは会って確かめるしかない。
待ち合わせ場所の広島パルコのアリスガーデンへ
「すんません。パルコまでお願いしまーす!」
タクシーを拾ったYUTAROは、パルコへと向かう。
車内で「パルコのどのあたりで待ち合わせします?」とお好女にメールを送信。
お好「そうですね~裏口のアリスガーデンでどうですか?」とすぐに返事が帰ってくる。返事が早いとやりやすい。
アリスガーデン?知らんけど現地の人に聞けばわかるはずだ。
「わかりました~!一応番号を教えておきますね~090…」
と返事をしておく。うむ順調だ。
広島パルコまでは、それほど離れていなかったようで、10分ほどで到着。
道行く女の子に「すいません、パルコのアリスガーデンってどこですか?でゅふ・・。」と道を聞く。
女の子は「なんや気持ち悪いオッサンやなあ・・」という顔をしながら、「そこの道をまっすぐですよ」と教えてくれる。
こんなキモ男でも無視しないでいてくれる、広島の女性はやさしい。
※アリスガーデンだよ。待ち合わせやナンパスポットでもある。
合流できるか?俺を見つける方法がキツイ。
さて、待ち合わせ場所についたYUTARO。
アリスガーデンは小さな広場になっていて、たくさんの人がいる。
「うーん。これじゃあ、どの子かわからん。」ついつい可愛い子に目がいってしまう。
「つきましたよ~どこにいますか?」と彼女にメールをすると、早速電話がかかってきた。
お好女「もしもし~初めまして~!私もついてますよ~どのあたりですか?」
少し高めのかわいらしい声だ。声の中に自信が垣間見える。
うん。今日のアポ相手は当たりの予感がする。
「えっと、なんか赤い変な形の・・変なオブジェがあります。」
お好女「あ!わかったかも・・ちょっと首を振ってもらっていいですか?」
・・なんじゃ?その注文。
広島アポ開始。美人だけど変なヤツが来る。
YUTAROは恥ずかしさを抑えながら、ブンブンと首を左右に振った。今、広島に不審者が一人誕生した。
すぐにトントンと背中を叩かれる。職質か?いや、きっとお好女だろう。
振り返ると一人の女性が、笑顔で立っていた。
「どうも・・。YUTAROです。」
女「こんばんわー!」
「お好女さんです・・よね?」
女「え?いや・・違いますけど?」
「えっ・・?」
この流れなら完全に今日のアポの相手だと思うのだが・・・!もしかして逆ナンですかね?
逆ナンかと思ったら祈りだった。
こんな不審者に声をかける女もなかなかの物好きだ。YUTAROが舞い上がっていると、女が口を開く。
女「あの・・・少しだけあなたのために祈らせてもらってよろしいでしょうか?」
そうそう!逆ナンってまず「祈り」から始まるんだった!んなわけあるか!
「祈り」という言葉に頭が真っ白になる。
「えっと、その・・えっ?」
女「1分だけでもいいので・・。」
「あっ・・そうですか。1分だけですか・・じゃあどうぞ。」
逆ナンからの祈りにYUTAROの思考は完全に停止した。もう全て受け入れよう。それが神のおぼしめしならば。
お好「あはは!冗談ですよー!お好女ですよー!」
「・・シュールすぎるw」
できるならば、祈ったついでに、このまま付きあって、布教がんばって、子供つくりも頑張って~。なんて要らぬ未来まで描いてしまった。
変な女来た。
「じゃあ・・祈りは?」
お好「あはは!もしかして天然ですかー?」
「こんなシチュエーション、俺のデータベースにないから対応方法がわからない。」
お好「しかも祈ってもらおうとしてたし!ウケるー!いま友達の間で流行ってるんですw」
・・変なヤツ来ちゃったよ。
最初からいきなり強烈なストレートをもらった気分だ。「玄人VS玄人」の戦いが楽しみって言ってた自分が恥ずかしい。
かつてない、「NEWTYPE」の登場にYUTAROは胸騒ぎを覚えるのだった。俺もまだまだだ。
ガチの天然?それともドS?
「ほんとびっくり。友達と会うときはいつもこんなことしてるの?」
お好「私、ドSですから!うふふ…」
会話が通じない。これはヤバイタイプだ。
会っていきなりこのテンション。危ない薬でもヤッてるのだろうか?
出会い系でアポすると、ほとんどの子は緊張した感じで来る。
そういう女性の緊張を、冗談と笑顔で崩していくというのが、ワタクシの役目だったのに。
「広島の女は情熱的で気が強い」・・話しが違うぞ!
広島出身の友人は、「広島の女は情熱的で気が強い女性が多い、そして結構軽い」・・らしい。
なんか話しが違うぞ。「天然で掴みどころがない」の間違いじゃないだろうか?
楽天的な印象だけど、自らドSと言っているくらいだから、性格もキツいのだろうか?
酒を飲ませて本性をさらけ出していただかないと・・。
見た目は木村多江似の地味美人
ちなみに、見た目はというと、どちらかというと地味目で、目はそれほど大きくない。
一重か奥二重だろうか?日本風の顔立ちで、肌がきれいで清潔感がある。芸能人で言うと木村多江に雰囲気が似ている。
※この人が木村多江。
思ったのとは違うが「まあ美人」だ。こういう女性は特に出会い系を使うように見えない。
なんだかんだで男性からの需要は高そうなので、モテるに違いない。
「さて・・、寒いんで、さっそくお好み焼きを食べに行きますか?」
お好「ビール!ビール!お好み焼きをアテに飲んだら~止まらなくなっちゃう!」
(・・酒飲み確定!)
「お好み村」でお好み焼きデート
とりあえず、YUTAROとお好女はお好み焼き屋に向かうことにした。
「どこで食べる?」
お好「そこにお好み村があるんで、行きましょうよ~!」
「お好み村?って名前のお店?」
広島には何度も来たことがあるし、お好み村の存在は知っているが、知らないふりをしておこう。
お好「お好み焼き屋さんが、たくさん入ってるビルです。ほらこのビル。」
「おお!お店選び放題ってわけね!いいね!」
待ち合わせ場所のパルコから歩いて1分、お好み村に潜入を開始した。
「いい匂いがする!!これはオタフクソースですねえ。」
お好み村のビルに入ると、お好み焼きのソースの香ばしい匂いが漂っている。
じゅわっと、YUTAROの胃酸が湧き出してくる。そうだ俺は餓死寸前だったのだ。
お好み村の建物内は、決して清潔そうじゃないけれど、所狭しとお好み焼き屋さんが軒をつらねている。とりあえず下の階から各フロアを回ってみる。
「うーん。どれにしようかな~♪」
「わきの臭いを嗅ぐのが好き」性癖カミングアウト
ぎゅ・・お好女がYUTAROの脇の下をつかむ。お、どうした?俺の脇が臭いのか?
この自然な振る舞い。自然なだけに怪しい。こいつもしや、キャバ嬢か?このまま同伴なのか?
「てかなんで脇の肉つかむの?俺ってばワキガ?」
お好「・・だって脇さわるの好きなんだもん。」
「え?二の腕とかならわかるけど・・」
お好「わきを触ったり、臭い嗅いだりするのがいいの!」
突然の性癖カミングアウトである。
「うーん。変わってるね~。俺の臭いもかぐ?」
お好「こっそり後で嗅ぐ♡」
「変態じゃん。」
お好「よく言われます。」
さっきからペースを握られっぱなしだ。俺のターンが周ってくるのはいつだろうか?
さて、お好み村に話しを戻そう。
たくさんの店を見て全くお客さんが入っていない店もあるし、所狭しと客が入って、満席の店もある。
「お好み焼き」だけで成り立っているだけあって、このビルはサバンナばりの弱肉強食ゾーンだ。
お好「私的には、ここがおすすめですかね~」
「よし、入ろう。」
四階でも「八戒」へ。
たしかお店の名前は八戒だったと思う。「四階でも八戒」という憎いキャッチフレーズだ。
ちょっと強面なご主人がおられます。しゃべり方も少し不愛想で一徹者のような感じ。
(うーん。かなり怖そうだがや。)
他に女の店員さんが一人。店はほぼ満席で、「二人なんですけど、入れます?」と恐る恐る聞いてみる。
どうやらこの後予約が入っているようだが、なんとか入れてもらえた。二人は端っこの端っこに座る。
とりあえずビールで乾杯。
お好「ここのウニクレソンがおいしいんですよ~」
お好み焼き2枚と一緒にウニクレソンも注文。ぶっきらぼうに大将がオーダーを取ってくれる。
やっぱりちょっと怖い~と思ったら、ほかのお客さんと笑顔と話してたりで、「意外とやさしい人なのかも?」と安心した。
お好み焼きを待っている間にビールは2杯目へ。
彼氏みたいな人ってなんだよwセフレ?
「てか、今日は急に来てくれてありがとう。一人でご飯食べなくてすんだよ。」
お好「寂しがりなんですね~、私もちょうど誰かとご飯食べたいなって思ってて、よかったです。」
「そっか~結構、ハピメ使って頻繁に会ったりしてるの?」
どのぐらいの男と会っているのか気になる。
お好「そんなでもないですよ。一人でご飯食べるのが寂しいときとかに使ってます。」
「お好み女は、一人暮らしなの?」
お好「そうなんですよ~私、実家は島根なんです。」
「へえ、島根県かあ・・結構遠いね~。」
お好「あっちは仕事がないですからね~人口少ないし。でも結構近いですよ!広島なら仕事休みの時とかすぐに帰れるんで。」
「そうだね~。広島に来て長いの?」
お好「かれこれ8年になります~。」
「彼氏は?実は結婚してたりしてw」
お好「彼氏みたいな人はいますよ~てか私、結婚してるように見えます?」
「彼氏じゃないの?結婚しているようには見えないけど、もし結婚してたら彼氏みたいな人は作らないでしょ?」
お好「まあ、確定ではないかな?付き合ってとか言われてないし、ははは・・。でも結婚しても彼氏みたいな人作るかもですよ~。うふふ♡」
「なにその小悪魔スマイル・・危ない女だぜ!」
お好「あっバレました?」
こりゃ火遊びしたら痛い目に合いそうだ。「何番目の男」とかナンバーつけられそう。
お好女は危険な匂いがする。今日一晩のアバンチュールくらいにしとくか!
絶品お好み焼きとウニクレソンに酒が止まらない
お好み焼きが出来上がる。待ってました!
鉄板でいただくスタイル。一口パクリ!
(・・あふ!あふ!)
ふんわりとしていて。うまし!
(さて、ウニクレソンも。鉄板焼きでウニとは新しい。)
「あふ!ウマー!なにこれ!」
ウニの濃厚な甘みと、さっぱりとしたクレソンのマッチングが絶妙で、嫌が応にも酒が進む。
彼女もハイペースで杯を空ける飲みっぷり。
「いいね~飲みっぷり。」
お好「お酒大好きなんですよ~毎日でも飲めます。」
「強いんだね~!でも俺に追いつけるかな?」
お好「私なかなか酔わないんで、すんなりとお持ち帰りできませんよ~」
「・・・」
美味しい広島お好みでお腹も満たされた。この後はどうなるのだろうか?このままバイバイとはいかないぜ!
会計を済ませ、エレベーターを待っていると、
「ピロリロリン!ピロリロリン!」
携帯に着信あり。誰だ?
飯を奢ってデートを一次会で帰られた時の男の心理
お、俺か?いや違う。YUTAROの携帯は鳴らない。マナーモードにしてるのでバイブするのだ!
「あれ?なんか携帯なってない?お好女のじゃない?」
お好「え?あっ・・ホントだ。」
お腹いっぱいになって音に鈍くなってるですかね?
お好「すいません、ちょっと出ていいですか?」
「どうぞどうぞ。」
お好女が鞄から携帯を取り出して、耳にあてる。
お好「もしもし?うんうん、わかった・・行く行く。」
彼女の言っていた「彼氏みたいな人」からの電話だろうか?お好女がまだ話していたので、待っていたエレベーターを見送った。
お好女がちょっと申し訳なさそうな顔をして、YUTAROに会釈をする。
俺は階の表示ランプが、1階まで下がるのを見て、もう一度、エレベーターのボタンを押した。
お好「うん、そっか~。じゃあ後でね。」
そう言うとお好女が電話を切った。
「行く行く」「後でね」の電話に嫌な予感。
お好「おまたせしちゃいました。あの~YUTAROさん・・私ですね。」
彼女が申し訳なさそうな顔でこちらを見る。彼女の電話の「行く行く」「後でね」の声で嫌な予感しかしない。
「んん?どうしたの?」
お好「この後、予定ができてしまって、これからそっちに顔を出しに向かわないと・・すいません。今日はご馳走さまでした。」
さっきまでの楽しい時間が、灰色になって色あせて行く。このタイミングで言う?ご飯食べ終わってすぐに言っちゃう?
「え?全然いいよ~もともとご飯だけってことで掲示板に書き込んだつもりだし。」
俺は取り繕った、精一杯の笑顔を彼女に向けた。
(な、泣いたらアカン・・。まだ。)
空気を読んだかのように、エレベーターが再び開く。今度は誰も乗っていない。二人は乗り込むと1階を押して「閉」のボタンを押す。
デートの途中で帰られる男の心は、ダークサイドに落ちる寸前
そんな気がしていたのだ。これは、お好女の計算なのか?本当に予定ができたのか?飯だけ食ってトンズラするという寸法だったかはわからない。
でも奢るだけ奢らされて・・一軒目でバイバイは辛い。
そりゃ下心が無かったといえば嘘になる。これから楽しい二次会が始まるはずだった・・
「二軒目、三軒目、スキあらばホテルでしっぽり・・。」
見透かされていたのか?下心スカウターでも持っているのだろうか?
こんな時の男の心理はダークサイドに落ちる寸前だ。今俺は、こんな事を思っている。
- 楽しくなかったの?ずっと帰りたかったの?
- なんかキモい事したっけ。
- コイツは常習犯だ
- 我輩は財布である
- 次は無いぞ次は!
恨み節はクセになる。それが自信喪失に繋がる。・・俺は考えるのをやめた。
社交辞令マシーンと化す。
二人はお好み村の入口へ。鉄板の熱で暑いくらいだったお好み村のお店とは対照的にヒヤッとした冬の空気が身に染みる。
「じゃあ、今日はご飯に付き合ってくれてありがとう!」
もう、ここからは社交辞令のマシーンと化す。
お好「こちらこそ、ごちそう様でした!またご飯に行きましょう!」
よく言うよ!彼女は、一度だけ振り返って広島の夜街に消えていった。
さてと・・帰りは歩いてかえるか・・。タクシー代ももったいないしね。
賑わいのある街を冷たい空気を背中に感じながらとぼとぼと歩く。
時折携帯を取り出して、現在地をチェックしながら歩みをすすめる。
どんどん人気が少なくなってくると同時にYUTAROの体も底から冷えはじめる。こんな事なら会わなきゃ良かった。