いらないものは捨てていく・・そして福岡で生きていく
「よしこれで荷物は大体積み込んだな・・。」
2011年5月。ゴールデンウィークも終わった頃だ。
大阪子と暮らすはずだった名古屋(天白区)の部屋にはもう何もない。
もともと大阪子がこの部屋に来てから、家具類を新しく揃えるつもりだったので荷物は最小だった。
3月・4月の引っ越しシーズンは終わったとはいえ「名古屋」⇒「福岡」という長距離の引っ越しは、引っ越し業者に頼むとやはり高額な費用がかかる。
だから、余計な家具や、いらないものは捨てていく。
ついでにこの部屋で過ごしたクソみたいな思い出も捨てていこう。断捨離バンザイってやつだ。
愛車(ワゴン)にできる限りの荷物を載せる。
「さて、行きますか!グッバイ地元。」
俺の新しい門出を祝うように、空は晴天だった。
名古屋から福岡までは約800キロの距離。いつもどおり下道でシコシコと向かうので、明日までにつく計算だ。
大阪や広島でアポするなんてことも考えたが、思った以上に準備に手間取ってしまい今回はスルー。
それに旅ばかりしている余裕はない。
新天地、福岡に到着。
翌日、ナントカカントカ福岡に到着。夜通しの運転で体は疲れ切っている。
少しだけ仮眠をとり、住吉のロイヤルホストへ向かう。
「あっAさんどうも!わざわざすいません。」
筑紫女が紹介してくれた、不動産屋のAさんだ。
A「いえいえ、こちらこそ出先ですいませんね。ウチの事務所はちょっと遠いので。それではコーヒーでも飲みながら、鍵の受け渡しと重要事項説明をさせてください。もちろんコーヒーはボクのオゴリですよ(笑)」
Aさんは気さくな人だ。
この人がいろんな部屋を紹介してくれたおかげで、福岡に住もうと思ったと言っても過言・・やっぱ過言だわ。
博多区美野島に住むことになりまして。
A「薬院の物件は残念でしたね。」
Aさんが苦笑いをしながら言う。
当初は福岡で人気のある薬院(やくいん)の物件で決めたかったのだが、あれこれ迷っているうちに一足先に契約されてしまった。
結局、俺が契約したのは美野島(みのしま)の物件だ。こっちの部屋のほうが広くて家賃も安かったので特に文句はない。
ちなみに美野島は、福岡市の中心地「天神」までチャリで15分。玄関口「博多」まで10分もかからない。
昨日まで住んでいた名古屋の天白区に比べれば、充分すぎるほど便利だ。
A「今日はありがとうございました。では福岡生活楽しんでくださいね。」
そう言ってAさんは車に乗って去っていった。この後も契約があるらしい。
腹は出ているが、ナイスガイである。
Aさんから受け取った鍵を持って、さっそく新しい「我が家」へと向かった。
マンションの駐車場に車を停め、とりあえず布団のセットを運び出す。
「んしょ!んしょ!」
なんとかオートロックの鍵を開け、エレベーターに乗り込む。腕がつりそうだ。
「あっどうもこんにちは~♪」
女の人「こんにちは~!」
「今のお隣さんかな・・めっちゃ美人だったな・・。」
新しい生活に胸をときめかせながら、早速持ってきた布団を敷いてゴロゴロし始める。
(・・行方不明にならない嫁ができるといいな。)
俺は博多の地でいい夢を見れるだろうか?